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知識流通 より

「セレンディピティとは、当てにしていないものを偶然にうまく発見する才能、などと定義される」などと言われると、つい「たなからぼた餅」なんていう俗っぽいことわざを思い出してしまう。[松岡裕典]

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朝、シャワーを浴びてシャツを着ようとして襟タグに目がとまった。そうそう、前からこれカッコいいなぁと思っていたことを思い出して、シャツをテーブルに置いてケータイカメラで撮影した。 カッコイイからと言って切り取ったり、はたまたそれをコレクションし始めるのはどうも違うと思う。ほんとは写真に撮るのもどうかとは思うんだけど。この写真を見ると気持ちのいい記憶が甦るから……。ギリギリの妥協点かなぁ。

[2004.03.30]

 

 

なぜ世界の半分が飢えるのか

これはスーザンジョージという女性が書いた本の名前で、僕は1980年代のはじめに読んだ。で、最初に考えたのは「この本をもっとたくさんの人に読んでもらう方法」だった。なぜかというと、図や表や写真がなくて全部文章で書いてあったからだ。それから、文章の構成がとっても論理的だったからでもある。

つまり。

全部文章で書くから数百ページになってしまい、読む人が限られてしまうが、文章のうち図や表にできる部分を図や表にしてしまえば、もっとずっと薄くなって価格も安くできるだろうと。さらに、文章が論理的にできているから、たとえば頭注(文章の上部、ページの上の余白に付ける注)として、ブロック単位で「事実」「解釈」「仮説」「論証」「例示」「結論」のような目印を付けられるな、と考えたのだ。

そうすれば、時間がない人は「結論」の部分だけを拾い読みしていけばいい。そこで納得できればそれはそれでいいし、「えー、どうして?」と思ったら、その前の「例示」や「論証」の部分を読めばなぜそういう結論になったのかもわかるだろう。

僕が小さかった頃はテレビもゲームマシンもなかったから、娯楽といえば本だった。時間が有り余っているから本ならなんでも読む……うちに、こういう本にも出会えて「うーむ」と考えたりもできた。しかし、今の人たちには僕らとは逆に有り余るほどの娯楽がある。時間が圧倒的に足りないのだ。ならばそれに合わせる他にないだろうと僕は思う。

でも、これを紙の本でやるとそれなりに面倒で、やっぱり読む人は限られてしまう。それなら、コンピュータでハイパーテキストを使えばどうだろうと考えた。考えたけど、実際にはやってません。ごめんなさい。……いや、ほんとはあるところでやろうとしたんだけど、却下されてしまったのだ。

こういうことを考えるのも「情報環境設計」という仕事の一例だと僕は思っているのです。

[松岡裕典]

『なぜ世界の半分が飢えるのか―食糧危機の構造』朝日選書 (257)
■スーザン・ジョージ (著), 小南 祐一郎, 谷口 真里子(訳)
■価格: ¥1,785 (税込)


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